時折僕は自分が あの天井に届いてしまうほど背が高いのではないかと思うことがある。そうでなければ この廊下を隙間なく塞ぐほど太っている と。 
そしてそう思った日は大抵日が沈んでから気分が悪くなる。それがわかっていたから、夕暮れのあいだに家に帰りたかった。
駅の地下街を通って改札に向かうのはここ数日で急に厳しくなった寒さを避けるためで 雪なんて降るものか、と長いこと思っていたのに、からかわれたような気持ちがした。
駅の中心には螺旋状の錆びた階段があって、terminal 機械の根幹を支える巨大なねじのようだった。
人々が自ら動いているのか ねじが回り彼らを動かしているのか 僕はしばしば わからなくなる時があった。
君はだから 大きくなりたいんだよ今よりも  だからそんな錯覚をするんでしょう  酒の席で細面の友人が言ったことを僕は思い出した。 

シールじゃないんだから